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退職にあたって@大谷

  • スタッフのつぶやき


こんにちは。


私事ではありますが、1月いっぱいをもってセナ動物病院を退職いたしました。来院された際にお伝えできる方にはお伝えしておりましたが、タイミングが合わずご報告が遅れてしまった方もいらっしゃったかと思います。この場を借りてお詫び申し上げます。


今後は母校である北海道大学の動物医療センター(動物の大学病院)にて研修医として勤務する予定です。セナ動物病院で約3年勤務するうちに、もっと勉強したい、という気持ちが強くなったことが一番大きな理由です。来院されたどの子も元気になって普段の生活に戻れるよう頑張っているのですが、病状、余命、現在の獣医療レベル、その他様々なことから、来院された子たちが皆すぐに良くなるとは限らないのが現状です。実際、悔しい思いをしたこともこの3年間で何度もありました。最先端、高レベルの獣医療を提供する大学病院で学ぶことで、そんな子たちの苦しみをもっと減らすことができれば。一緒に暮らすご家族の皆様の気持ちも少しでも楽になれば。そうやって、「動物も人間も元気にする仕事」である獣医師という職業のプロフェッショナルになりたい。今は強くそう考えています。


大学卒業後、新卒獣医師としてセナ動物病院に勤務させていただきましたが、右も左も分からない状態から始まり、優しすぎるほどに優しい、でも頼れるスタッフのサポートを受けながら獣医師としての土台を築くことができました。その中でも、ご家族との接し方をセナ動物病院は本当に大事にしていると感じていました。よく自分が人間の病院にかかる時に思うのですが、偉そうで無愛想な医者は正直大嫌いです笑(診察時間の制限なども大きいのかなとは思いますが…)以前こんな話を聞きました。昔は一般の方々は医療の知識も乏しく、病院の選択肢も少なかったため、自分の分からないことを解決してくれる貴重な存在として、ある意味自らの「指導者」として、町医者はいわゆる「お医者様」で良かった。そしてその風潮は今も、特に年配の方の間で根付いている。しかし現代ではインターネットの普及などもあり、患者さんが手に入れられる情報と選択肢は格段に増え、より患者さんが治療に参加する機会は増えている。そのような現状では患者さんへの病気・治療に関する説明・理解・同意が重要になり、さらにそうやって医療サービスを提供するだけではなく、患者さんとそのご家族の心のケアも行うことが求められている。つまり、以前のような「指導者」としての立場だけでなく、患者さんとそのご家族の「理解者」でもあらねばならない…というお話でした。このことは、人医療よりも獣医療においてより重要なのではないかと思います。わんちゃんやねこちゃんに必要な医療を提供するだけでなく、ご家族の置かれている状況や心配する気持ちを理解し、解消できるよう努めること。このことは自分の獣医師としての土台にしっかり刻まれています。100%全てのケースで100点を出すことはまず不可能です。それでも、獣医療従事者が忘れてしまいがちなこのことを、常に100点を目指している、そんなセナ動物病院でしっかり学べて本当に良かったなと思います。


大学病院では診察の仕方なども大きく変わるとは思いますが、セナ動物病院での経験を忘れず、より多くの動物とそのご家族を元気にするべく日々精進していこうと思います。本当にありがとうございました。


大谷豪

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