口腔内メラノーマの根治を目指して頑張るわんちゃんを紹介♪
- セナ腫瘍科の症例
セナ動物病院 腫瘍科看護師の長谷川です。
今回は、突然口腔内に大きなできもの(メラノーマ)が出来てしまい、
根治(完治)を目指して頑張っているわんちゃんがいるのでご紹介します。
13歳とご高齢なもののとても元気なわんちゃんですが、数週間前から口のできものがみるみる大きくなってしまいました。
このできものが、何なのか、悪性なのかを調べるために細胞診/組織検査を行いました。
その結果、『悪性メラノーマ』と診断されました。
悪性メラノーマは、診断された時点で肺やリンパ節などに転移していることも多いので、
全身の隅から隅まで確認しましましたが、早期発見ができたためか、肺やリンパ節含め、明らかな転移はありませんでした。
ただし、CT検査において、できものが顎の一部の骨まで拡がり、骨の一部を溶かしていることがわかりました。
全身への転移を認めていないので、大きく(上あごの骨と腫瘍全て摘出)手術することで根治を目指すことにしました。
ご高齢での大きな手術をするこの決断には、とても心労があったことと思いますが、1日でも長く大好きなご飯を食べて過ごすために一緒に頑張ることを決めました。
手術は、腫瘍を取りきるために、その周囲の骨(上顎骨)や歯とともに切除し、摘出後にできる大きな欠損を口の粘膜や周囲の皮膚(フラップ)を用いて細かく縫い合わせます。
上の写真は摘出後の腫瘍の一部、下の写真は傷口を縫った後の写真です。
麻酔はとても安定しており、大きな出血もなく数時間の末無事に手術を終えることができました。
手術後は、傷の痛みや管理のため約1週間入院し、元気にご飯を食べれる状態での退院を目指します。
写真のように手術直後は、どうしても少しお顔の様子が変化してしまいますが、本人はとても元気で、少し柔らかめにしてあげたご飯をもりもり食べて少し前倒しの5日目に元気に退院することができました。
退院後も順調に経過し、現在は転移や再発の様子もなく、元気に大好きなドライフードを食べて過ごしてくれています。
お顔の様子も時間が経って、毛が生えてくるとだんだんわからなくなってきて、可愛い表情で過ごしてくれています。
今後は、転移や再発がないことを願いつつ今まで通り生活し、病院で定期チェックを続けていきます。
これからもニコニコと元気に、モリモリ食欲旺盛に過ごしてくれることをスタッフ一同願っています。目指せ20歳!